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酷暑列島日本!熱中症予防のススメ:暑い夏を快適に乗り切ろう!

院長 豊山弘之  2024年8月

パリオリンピックでのメダルラッシュに沸く中、甲子園球場では高校球児達が灼熱の太陽の下で全力でプレーしています。懸命に競技する選手達に感動の毎日です。甲子園球場での頻繁な熱中症注意喚起のアナウンスが印象的ですね。

 日本の夏は年々厳しさを増しており、高温多湿の環境が続くことで、熱中症のリスクが高まっています。特に近年は65歳以上の熱中症による死亡割合が増加傾向にあります。本コラムでは近年の猛暑と熱中症の効果的予防について考えてまいります。

熱中症のメカニズム

 熱中症は体温調節機能が破綻し、体内の水分や電解質のバランスが崩れることによって引き起こされます。生体は 高温環境にさらされると発汗することで体温を調整しようとしますが、長時間の曝露や高湿度環境では、発汗だけでは十分な冷却効果が得られず逆に体温が上昇します。

  さらに発汗により水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われていきます。これが脱水状態を引き起こし、体内の電解質バランスが崩れ、神経や筋肉の機能に影響を及ぼします。喉が渇いてから水分摂取をしても塩類が喪失してしまった状況での水分摂取だけでは低浸透圧血症となり水の取り込みがうまくいかなくなり、循環血液量に反映されない細胞浮腫となっていきます。さらに脱水状態が進むと高浸透圧血症となり高温であっても汗をかけない危険な状況に陥ります。この循環動態の増悪変化により心不全や腎不全が引き起こされ、高齢者や基礎疾患のある人は重篤化しやすいのです。


効果的な熱中症予防策

1. 水分補給と塩分比

  いうまでもなく水分補給は熱中症予防の基本で、喉が渇く前にこまめに水分を摂取することが大切です。発汗量に応じてスポーツ飲料、イオン飲料で塩類を補うことも必要ですが、これらにはナトリウム、糖質が含まれており偏ってしまうと高血圧や糖尿病には都合が悪い一面もあります。こればかりだと余計に喉が渇くといった話も聞きます。これはドリンク剤の浸透圧が高いことが理由で汗をかかない状況では塩類糖類の摂取過剰となる場合もあります。これらは患者さんからよくある質問の一つで、「真水と半々にして飲んでみては」とアドバイスしています。

2.いかにして涼しく過ごすか

ためらわずにエアコンを稼働させましょう。電気代やCO2排出が気になるところですが、まずは健康管理を優先させるべきかもしれません。家電製品にもよりますが、外気温とエアコン設定温度の差が大きいと起動時の消費電力が多くなるためつけっぱなしの方が節電になるそうです。外出時には直射日光を避け、日陰を利用し、帽子や日傘をうまく使いましょう。日傘は女性だけのものではありません。最近は私自身も日傘を使い対策しております。

3. 不要不急の外出を避ける?

この文言はコロナ禍で嫌というほど聞きましたね。しかし屋外の仕事の場合は避けようがありません。最近は風の入るファン付きベストや冷却服を着て作業をされている方をよく見かけるようになりました。また速乾性のクーリング生地の商品もたくさんあるようです。外出の際は服装に工夫することも熱中症対策につながるでしょう。


冒頭にありましたが近年の猛暑の中での甲子園大会が過酷すぎるのではないか、涼しい地域へ場所を変えたら‥甲子園をドーム化しては‥などの意見が出始め議論となっています。「甲子園」という野球の聖地で開催されることへの崇高な意義がこの大会にはあると思いますが、その一方で聖地や伝統を重んじ、厳しい環境で競技することよりも時代に即した良好な環境で高校球児に活躍してもらうことも近代スポーツのあり方なのかもしれません‥