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人はなぜ塩分を求め好むのか〜減塩新時代における生活の工夫〜

院長 豊山弘之  2024年6月

日常診療で「塩分を控えましょう!」と日々患者さんにお伝えしています。皆様も当然の事のように納得してくださるどころか、様々な情報をいただきます。日々学びであります‥

人はなぜ塩分を求め好み、今なぜ減塩なのでしょうか。

今回は減塩新時代ともいえる生活習慣について幾つかの側面から考察してみます。

人はなぜ塩分を求め好むのか

人が塩分を求める理由は、進化、生理学、文化の三つの視点から説明することができます。

1. 進化的視点

かつて塩分は非常に貴重なものでした。古代の人々は、食物から十分な塩分を摂取するのが難しかったため、塩分を求める強い欲求が生まれたそうです。この欲求は、生存と繁殖に直結しており、体内の水分バランスを保つ。神経や筋肉の機能を正常に保つ‥など必要不可欠な要素で、進化の過程においてこの要素である塩分を摂取することができた個体は生存率が高まり、その遺伝子が後世に伝えられてきたというわけです。

2. 生理学的視点

塩分は、ナトリウムと塩化物イオンから成り立っています。ナトリウムは細胞の正常な機能、特に神経伝達や筋肉の収縮において重要な役割を果たします。体内のナトリウム濃度が低下すると、身体はそれを補うために塩分を求めるようになります。例えば、汗を大量にかくとナトリウムが失われ、それを補うために塩分摂取の必要性が高まります。ポカ○スエット、OSなんとかに代表されるイオン飲料が脱水改善に効果をもたらすのは、身体の恒常性維持をサポートしてくれるからです。逆に汗をかかない状況であれば、これらは塩分過剰摂取となるので状況に応じた摂取が必要でしょう。

3. 文化的視点

「塩」 は歴史上、重要な役割を果たしてきました。「塩の道」といった流通路は世界中に存在し、例えば古代ローマでは塩が貨幣の代わりとして使われることもありました。日本では、塩は食文化の一部として根付いており、保存食としても用いられ、味噌や醤油などの発酵食品に多く含まれています。これらの文化的背景も、人々が塩分を求める理由の一つと言えます。本能的に塩味を求めるのはこのような文化的要素が背景の一因でしょう。

減塩新時代における生活の工夫

かつて(1940年代)日本人の死因第一位が脳出血でした。高血圧が主な要因であり塩分摂取との相関性は明らかで、戦後まもない日本人の食生活を反映した統計結果といえます。ところが今となっては健康意識の高まりとともに、「減塩」は当たり前の時代となりつつあります。そしてグルメブームに代表されるように「美味しいものを健康に食する」ノウハウが日常生活の一部として常識化されているようにも思います。 具体的な工夫を紹介いたします。

1. 香辛料とハーブの活用、出汁への注意

塩気がない代わりに香辛料やハーブ、酢などで風味を補う方法が近道です。バジル、オレガノ、ローズマリー、タイムなどのハーブやクミン、コリアンダー、ターメリックなどのスパイスを使うことで、塩分を控えた料理でも豊かな味わいを楽しむことができます。「だしの○」に代表される調味料は思いのほか塩分が高いので注意が必要です。一方で「味の○」で旨味を補うのは減塩味付けという点ではおすすめなのかもしれません。しかし化学調味料でなく自然の旨みが良いことは言うまでもありません。

2. 食材の選び方

新鮮な野菜や果物は、自然の甘みや酸味を持っており、塩分を控えた食事でも美味しくいただけます。また発酵食品、昆布、魚介、きのこ類、など旨みの正体であるグルタミン酸とイノシン酸、グアニル酸を組み合わせたような成分豊富な食材を使うことで、塩分を減らしても満足感のある料理を作ることができます。

3. 調理法の工夫

調理法を工夫し塩分を控えた料理でも美味しく仕上げましょう。調理することで食材の風味を引き出すことができるかもしれません。例えば低温調理や真空調理(ローストビーフなど)を活用すると食材の旨味を閉じ込め、少ない塩分でも満足感のある料理を作ることができます。


参考文献

1. Smith, A. (2013). The Salt Conundrum: A Historical Perspective. Journal of Nutrition History, 25(3), 234-245.

2. Johnson, B., & Thompson, M. (2017). Sodium and Human Physiology: The Essential Relationship. Biological Reviews, 92(2), 421-435.

3. Nakamura, K. (2018). Salt in Japanese Cuisine: Cultural and Health Implications. Asian Food Studies, 14(1), 78-89.